Peter Morville著の「アンビエント・ファインダビリティ」はどんな情報でも見つけることができる状態になるという視点でこの本を書いています。これはどこにいても見られている可能性があるということも意味します。そうなることによってのセキュリティー保全の問題や倫理的な問題はひとまず置いておいての議論を展開します。
ウェブマーケティング関係者として、現実に役に立つ見解は、コンテンツ提供者や技術者はハイテクレイヤに気を取られがちだが、実際に情報のファインダビリティを決定するのはもっと原始的な人間の心理を理解するところにあるという点です。技術はその心理の法則に従って情報を見つけやすく導くための道具にすぎず、その存在さえ意識する必要の無い状態が良い。ITという概念より一歩人間に寄ったHCI(Human Computer Interaction)という概念から更にC(Computer)を除く方向性に導いていく必要がある。
新しい議論ではないですが、ウェブのIA(Information Architecture)という観点で言えば、例えば検索エンジンから特定のページに直接飛んでくる人たちがいます。この人たちはそこで目にした記事に興味、信頼性、などを感じればコトラーが「消費者の意思決定の流れ」という概念で説明している様に何かのサービスを必要とする際に記事を書いた人をサービス提供者として選択する可能性が高くなる。
むしろ面倒なのはトップページから入ってきた人で、このような人たちは「berrypicking」という情報を段階的に見つけていくプロセスのステップをより多く踏んでもらう必要がある。ここでは探している情報にたどり着くというよりもその人にぴったりの情報が見つかること、そしてその過程を気持ちよく体験できるという状態を提供することが重要になってきます。
このberrypickingをいかに”ぴったりな情報が見つかる”という状況に近づけるかという研究は多くの研究所や企業がしています。それらの技術を利用し、ハイブリッドでユーザに提供できるようにすればかなり面白いUX(User Experience)を提供することができるのではないかと考えます。Googleはできるだけ多くの人に人気のある記事、信頼のある記事にユーザがたどり着けることを目的として検索のアルゴリズムを組んでいるのが現状のように感じます。ソーシャルでは自分の知っている人の情報が一番重要。
記事の分類一つをとっても下のようにさまざまな分類の仕方があります。
taxonomy --> ロジックで分類
folks-onomy --> 記事に貼付けられたタグで分類。多くの人がタグをつけて一つの情報を整理することからfolks(人)が分類するという意味の名前がついたのでしょう。
decision tree --> 学習を付随させて、何パーセントの人が特定の情報に到達したか、緊急性はどの程度高いか、反対に見せる必要の無い情報はどれかなどのパラメータを任意に設定し関連性の高い情報のランク付けをする
ハイブリッド型の検索実装方法として、例えば
- 最初にカテゴリーに分けられた”パソコン”などの項目をクリック
- そこで更にキーワードで絞り込む
- 表示された記事をクリックしたがまだ情報が足りないという気がするため
- 関連性のある記事がいくつか並んで表示されている中から”ピンとくる”記事のタイトルをクリック
というような流れで特定のユーザにぴったりの情報がマッチするという過程が生じるのということも可能です。実際多くのサイトでハイブリッド型の情報サーチは実装されていますね。例えばアマゾンであれば”キーワード検索”、”モデルで絞り込み”、”価格で絞り込み”、更にそれぞれの商品ページにはおすすめの商品が表示されるなど事例は豊富ですね。
これらの知識は一歩下がって選択・決定する価値基準を与えてくれるのに役に立ちますが、現実のサイトに実装して運用、改善のサイクルに放り込む過程は一つの試練ですね…。
コピュータ、AIなどの進化に付随するさまざまな憶測や悲観、批難などもあります。例としては携帯に電場番号を保存できるようになったとたん以前は何百件の電話番号を覚えていられた人がとたんに5件の電話番号も覚えていられなくなったという経験談もあります。インターネットに取られる時間が多くなり、直接のコミュニケーションが少なくなったなど。私は技術に溺れるのも利用するのも所詮いつの時代でも個人の意思に委ねられているという立場を取ります。
No comments:
Post a Comment